太陽熱温水器が水(お湯)を循環させる方式は2種類あります。それは、自然循環式と強制循環式です。自然循環式は動力ポンプなどを使わないため、構造もシンプルで、強制循環式よりも低コストで導入できます。
そして給水方法も2種類あります。それが水道直圧式と落下式です。水道直圧式は水道管に直結し、その水圧を利用するタイプ。落下式は屋根の上など高い所に設置した貯水槽から、高低差を使って給水するタイプです。
今回は自然循環式における水道直圧式と落下式の詳細についてご説明します。
自然循環式はその名の通り、動力を使わずにお湯が水よりも比重が軽いという性質を活かし自然に循環させる方式です。
お風呂を沸かした際に、上の方は熱かったので入ってみたら、下はまだ水だったという経験はありませんでしょうか？自然循環式は、その原理を応用したものです。
構造としては、集熱部に水を入れるとまずは集熱部の下の方に移動します。その後、太陽熱で温められお湯になると上の方にある貯水槽に移動していきます。給水は貯水槽に貯まったお湯から行われますので、常に温かいお湯が給水されるという仕組みになっています。
そのため、自然循環式の太陽熱温水器は基本的に集熱部と貯水槽が一体化されています。
では次に給水方法についてご説明します。まずは落下式です。
冒頭でも言及したように高低差を使って給水するタイプのため、屋根など高い所に設置されます。高低差は最低でも3mは必要ですが、それでも水圧はそれほど強くないため、基本的にはシャワーやキッチンなどでは使えず、お風呂のお湯はりに使われます。
また水道管直結ではないため、それとは別にお風呂に給水する管を接続する必要があります。そのため、追い炊き機能がないお風呂では、冬場などお湯の温度が低く利用できない期間がある場合もあります。
しかし、この方式はほぼ動力を使わないため、太陽熱温水器の中で最も低コストでの導入が可能となっています。
用途がほぼお風呂のお湯はりに限定されてしまう落下式に比べ、水道直圧式は水道管に直結するタイプのため、水道管の水圧をそのまま生かし、いまある給湯設備を利用することができます。
湯沸かし器の故障を防ぐため、温度調節をするためのミキシング装置を経由させる必要はあります。しかし水圧も強く、ガス・電気などをほとんど使わずに給湯設備の温度調節も自在にできるため、落下式よりコストはかかりますが、それ以上に用途が広く使い勝手もよい方式になります。
