真空管ヒートパイプ式 太陽熱温水器

太陽熱温水器の豆辞典

011太陽熱温水器の強制循環式におけるタンク分離型

太陽熱温水器の水などの循環方式において、自然循環式は水よりもお湯の方が比重が軽いという性質を活かし、集熱部の上部に貯水槽を配置し、温まったお湯がその貯水槽に貯まっていくようになっています。

これに対し強制循環式は、動力ポンプなどを使って水などを強制的に循環させます。そのため、集熱部と貯水槽は必ずしも一体化させなくてはいけない訳ではありません。このメリットを生かしたのが、タンク分離型の太陽熱温水器です。

今回はこの強制循環式におけるタンク分離型太陽熱温水器に関してご説明します。

寒冷地でも利用可能な強制循環式

強制循環式は動力ポンプなどを使い、強制的に水などを循環させるタイプです。ポイントは「水など」というところで、強制循環式で循環させる液体は水以外に不凍液を利用する場合もあります。
不凍液を循環させることのメリットはいくつかありますが、不凍液の循環路と水の水路とが分離されているため衛生面での心配が少ないという点。そしてもう一つのメリットが、凍結の心配はほとんどないという点です。
太陽熱温水器は冬場や寒冷地では使えないと思われる方も多いかもしれません。しかしこの不凍液を循環させるタイプであれば、そういった季節や場所であっても十分に対応が可能となります。

強制循環式におけるタンク分離型の構造

強制循環式におけるタンク分離型の給水の流れについてご説明します。基本的には集熱部で温められた水などが動力ポンプによって循環され、貯水槽に貯まっていきます。そのあとは水道直圧式と同様に、ミキシング装置を経て、お風呂のお湯はりはもちろん、シャワーやキッチンなどでも利用できます。
集熱部と貯水槽が分離するため、それをつなぐポンプであったり一体型に比べコストは高くなります。ただし別々である分、万が一故障があった場合、集熱部と貯水槽が同時に利用できなくなるといった心配は少なくなります。

屋根の補強を必要としないタンク分離型

集熱部と貯水槽が分離していることの大きなメリットとして挙げられるのが、屋根の上に貯水槽を設置する必要がない点です。
通常、太陽熱温水器の貯水槽の容量は200リットル程度です。つまり屋根の上に200kg以上の機器を設置することになりますので、それに対応した強度がない屋根であれば、補強の工事をしなくてはなりません。

もちろん地上に設置する場合であっても、設置場所の補強は必要となりますが、家屋に対するダメージ、台風や地震などの自然災害の影響を考えれば、屋根上よりも地上の方がずっと安全度は高くなります。